エッセー第四回:赤いきつねと緑のたぬき

"赤いきつねと緑のたぬき" このようなキャッチフレーズのカップ麵のコマーシャルがありました。
私は薄揚げ(いや厚い薄揚げ)が好きなので、断然赤いきつねですが。
でも、このキャッチフレーズに『赤いきつねと緑のたぬき、青いカレーうどん』などとつなげたら、宝石のコラムで何をふざけているのだといわれそうです。
今日は、赤・緑・青色の宝石の代表、ルビー、エメラルド、サファイアについてお話します。

 

 

宝石の色

 

真紅のルビーは血がたぎるような赤が魅力です。早春の落葉松の萌える緑色を思わせるエメラルド、やや紫がかった群青色のサファイア、いずれも、奇跡としか思えないような色の宝石です。

 

 

青いサファイアと紅いルビーは鉱物としては同じコランダム

 

青いサファイアと紅いルビーは鉱物としては同じコランダムと呼ばれるものです。全く反対の色の宝石が同じ鉱物ということは、一寸信じられない自然の悪戯です。
アルミサッシや1円硬貨は金属アルミニウムで出来ていますが、この金属アルミニウムが燃えて出来る酸化アルミニウムが結晶化したものがコランダムです。
宝石として珍重されるルビーもサファイアも成分的には、実にありきたりのものだという事には驚きです。
自然界の活動で生み出されたコランダムはマグマの中で成長する時に、周囲に鉄とチタンが存在すると、あの深い青色が出てきます。
クロムが存在すると紅いルビーとなります。
酸化アルミニウムは地殻のなかに15%も含まれると言われていますから、コランダムは
実にありふれた物質と言えます。
しかし、鉄やチタン、クロムと呼ばれるものが適量に含まれるコランダムとなると、実に希少な存在となります。

 

 

紅いルビーと緑色のエメラルド

 

さて、真紅のルビーも青いサファイアも色の原因である鉄とかチタン、クロム等の微量金属が含まれないと「まったくの無色透明」となります。
エメラルドもクロム等の微量金属が含まれないと「まったくの無色透明」となります。
実はルビーの赤い色も、エメラルドの緑色も同じ微量金属のクロムが含まれることによって、あのような色が生み出されているのです。
自然のいたずらというか、恵みというか、微量金属のクロムが含まれることによって赤いルビーや緑色のエメラルドが生み出されているのです。もちろん、途方もないほどの自然の偶然が生み出しているものですが。

 

 

最後にもう1つの驚きを

 

自然光で青緑色、白熱光では赤い色に変化するアレキサンドライトという宝石をご存知だと思いますが、この宝石の色もクロムによって着いています。

ルビー   アレキサンドライト              エメラルド
赤色    白熱光では赤い色、自然光で青緑色、  緑色

同じクロムという微量金属が、含まれる宝石の種類によって、このような色の変化を見せてくれるのです。このような自然のいたずらいうか恵みが私たちにあのような美しい宝石をもたらしているのです。
最後に普通の油揚げは薄揚げとも呼ばれ、これに対して中心部がほとんど豆腐の場合は厚揚げと呼んでいます。でも、最近は厚い油揚げ「厚い薄揚げ」とも呼ぶような油揚げが売られています。まったく宝石とは無関係の話を最後にしました。

 

 

風信子(ヒヤシンス)

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