エッセー第八回:シャボン玉とオパール

子供のころ、シャボン玉を空に吹いて遊んだ記憶は、楽しい思い出として記憶に残っていると思います。もっとも、石鹸を水に溶かしてシャボン玉を作ろうとして上手くいかず、悲しいというか寂しかった思い出も一緒にありますが。
シャボン玉の光のうつろいは子供心にも,不可思議な思いを持ったことを記憶に残っております。宝石関係の仕事についてオパールに接したとき、子供のころのシャボン玉のうつろう光の動きを思い起こしました。

 

 

白色光はいろいろな色の光が混ざったもの

太陽光や蛍光灯などは白色光と呼ばれています。これは、白色光というより「無色光」と呼んだほうが適切な表現だと思いますが。
実はこの白色光は赤色から紫色までの様々な色の光が混じり合って私たちの目には無色に見えているのです。

白色光をプリズムに通すと、赤色から紫色までの色に分解されます。
これを見ると私たちが見ている白色光は様々な色の光が混じり合っているというのが良くわかります。(光の分散)

 


シャボン玉はなぜ虹色に輝くか


シャボン玉が虹色に輝くのは、光の干渉のためです。DVDの記録面が虹色に輝くのも同じ現象です。
下の図を見てください。シャボン玉にあたった無色の光は表面で反射する光とシャボン玉の膜の内側で反射して出てくる光があります。
この2つの光がお互いに【干渉】してあの虹色の光が生まれるのです。

 


オパールの遊色効果


オパールの妖しい光の動きを「遊色効果」と呼びます。オパールを動かすか、見る人が動くと、オパールに現れている色が違う色に変化したり、色が出る形も変化していく、まさしく色が遊ぶ、これがオパールの魅力です。

オパールはシリカと呼ばれる微粒子が規則正しく一定周期で同じ構造を繰り返して成長しています。
シリカはもともとは無色ですが、このような構造をしているオパールに光があたると回折と呼ばれる現象が起き、オパールの各部で反射してくる光が【干渉】して、
あのような虹色の光が出てくるのです。

 

 

シャボン玉の光とオパールの光は同じ原理


いろいろ小難しい話をしましたが、結論はオパールの遊色とシャボン玉の光は同じ現象で色が出ているのです。
自然は実に面白いいたづら(面白い自然現象)を私たちに与えています。
オパールの光は本当に自然のいたずらというしかないほど、不思議な美しさです。

最後に、オパールのこのような現象を化粧品に応用しようという研究がなされております。プラスチックの微粒子でオパールと同様の構造を持った「プラスチックオパール(既に市販されています)」を使用して新しいメーキャップ製品を作ろうとしております。真珠のようなしっとりした光沢をもったメーキャップ製品かもしれません。日本の女性はますます美しくなるのでしょう。

風信子(ヒヤシンス)

0